2026.07.10
個人事業主の経費にできるもの一覧|勘定科目と判断基準を総まとめ
「これ、経費にしていいの?」
個人事業主として活動していると、この疑問は何度でも出てきます。
レシートを手に取るたびに迷い、帳簿の前で手が止まる。
この記事では、個人事業主が経費にできるもの・できないものを勘定科目ごとに一覧で整理しました。
「これは何費?」「按分は必要?」「金額の上限は?」── そういった疑問に、このページだけで答えられるようにしています。
ブックマークしておいて、迷ったときに戻ってきてください。
経費の基本ルール
- 経費にできるのは「事業に関係する支出」だけ
- プライベートと兼用のものは家事按分して事業使用分のみ計上
- レシート・領収書は7年間保管が義務
- 10万円以上のものは処理方法が変わる(消耗品費 or 減価償却)
消耗品費 ── 10万円未満のモノ全般
事業に使う「モノ」のうち、10万円未満(税込)のものはすべて消耗品費で処理できます。
個人事業主がもっとも頻繁に使う勘定科目です。
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| 文房具(ペン、ノート、付箋) | 不要 | 事業専用なら全額 |
| パソコン周辺機器(マウス、キーボード) | 兼用なら必要 | |
| iPad(10万円未満のモデル) | 兼用なら必要 | → 詳細記事 |
| iPhone(10万円未満のモデル) | 兼用なら必要 | → 詳細記事 |
| 配達バッグ | 不要 | 配達専用なら全額。→ 詳細記事 |
| 自転車(10万円未満) | 兼用なら必要 | → 詳細記事 |
| 名刺・封筒 | 不要 | 事業専用 |
| 書籍(事業に関連するもの) | 不要 | |
| ソフトウェア(買い切り・10万円未満) | 兼用なら必要 |
💡 10万円以上のモノ
10万円以上のものは、原則として減価償却が必要です。ただし青色申告なら「少額減価償却資産の特例」で40万円未満まで一括経費にできます。
→ 少額減価償却資産の特例を詳しく解説
通信費 ── スマホ・ネット回線・サーバー代
通信に関する費用はすべて通信費で処理します。
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| 携帯電話料金 | 必要 | 事業使用割合で按分 |
| 自宅のインターネット回線 | 必要 | 使用時間や面積で按分 |
| レンタルサーバー代 | 不要 | 事業専用なら全額 |
| ドメイン取得・更新費 | 不要 | |
| クラウドサービス利用料(AWS等) | 不要 | 事業専用なら全額 |
| サブスク型アプリ(月額課金) | 兼用なら必要 | |
| 切手・はがき代 | 不要 | 事業用のみ |
地代家賃 ── 家賃・バーチャルオフィス
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| 自宅の家賃(持ち家なら住宅ローン利息) | 必要 | 面積按分が一般的 |
| バーチャルオフィス利用料 | 不要 | 事業専用。→ 比較記事 |
| コワーキングスペース利用料 | 不要 | 事業専用なら全額 |
| レンタルオフィス | 不要 | |
| 月極駐車場 | 兼用なら必要 |
水道光熱費 ── 電気代・ガス代
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| 電気代 | 必要 | 使用時間で按分が一般的 |
| ガス代 | ケースによる | 事業で使う場面がなければ計上しない |
| 水道代 | ケースによる | 飲食業など水を事業で使う場合のみ |
自宅で仕事をしている場合、電気代は家事按分で経費にできます。ガス・水道は事業での使用実態がないと認められにくいので、無理に計上しない方が安全です。
旅費交通費 ── 電車・バス・タクシー
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| 打ち合わせへの電車賃 | 不要 | 事業目的なら全額 |
| 取材・営業のためのタクシー代 | 不要 | |
| 出張の宿泊費 | 不要 | |
| 通勤の交通費 | △ | 自宅と事業所が別の場合は計上可能 |
| ガソリン代 | 兼用なら必要 | 車を事業で使う場合。走行距離で按分 |
広告宣伝費 ── SNS広告・チラシ
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| Google / SNS広告費 | 不要 | |
| チラシ・フライヤー印刷費 | 不要 | |
| ポートフォリオサイトの制作費 | 不要 | |
| ノベルティ・販促品 | 不要 |
支払手数料 ── 振込手数料・クラウドソーシング手数料
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| 銀行の振込手数料 | 不要 | 事業用口座からの振込 |
| クラウドソーシングのシステム手数料 | 不要 | |
| PayPal・Stripe等の決済手数料 | 不要 | |
| 税理士への顧問料 | 不要 |
修繕費 ── 修理・メンテナンス
| 具体例 | 按分 | 備考 |
|---|---|---|
| パソコンの修理代 | 兼用なら必要 | |
| 自転車のパンク修理・タイヤ交換 | 兼用なら必要 | → 詳細記事 |
| 事務所の原状回復費用 | 不要 |
その他の勘定科目
| 勘定科目 | 具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 接待交際費 | 取引先との食事、お中元・お歳暮 | 「誰と」「何の目的で」をメモ |
| 新聞図書費 | 事業に関連する書籍、有料ニュースサイト | |
| 研修費 | セミナー参加費、オンライン講座 | |
| 保険料 | 事業用の損害保険、賠償責任保険 | 生命保険は経費にならない(控除で対応) |
| 租税公課 | 個人事業税、印紙税、自動車税(事業分) | 所得税・住民税は経費にならない |
| 諸会費 | 商工会議所、業界団体の会費 |
経費にならないもの
事業に関係がある気がしても、経費にできないものがあります。間違えやすいものをまとめました。
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| 所得税・住民税 | 税金そのものは経費にならない |
| 国民健康保険料・国民年金 | 経費ではなく「社会保険料控除」で処理 |
| 生命保険料 | 経費ではなく「生命保険料控除」で処理 |
| 事業主本人の給料 | 個人事業主は自分に給料を払えない |
| 交通違反の罰金・反則金 | 法律上、経費算入が禁止されている |
| プライベートの食事代 | 生活費は経費にならない |
| スーツ・普段着 | 「事業専用」と証明しにくい |
迷ったときの3つの判断基準
経費にできるかどうか迷ったら、この3つを確認してください。
- 事業に関係あるか?
→ 売上を生むため、または事業を維持するために必要な支出かどうか。「あったら便利」ではなく「なければ事業に支障がある」レベルが目安です。 - 証拠はあるか?
→ レシート、領収書、カード明細、取引画面のスクショ。いずれかがあればOK。
→ レシート・領収書のルールはこちら - 第三者に説明できるか?
→ 税務調査で「なぜこれが経費なのか」を聞かれたとき、合理的に説明できるかどうか。説明に詰まるものは計上しない方が安全です。
プライベートのお金で払った場合は?
事業用口座ではなく、プライベートの財布やクレジットカードで払った経費も、帳簿に計上できます。
そのときに使うのが「事業主借」という勘定科目。
クレジットカードで払った場合の具体的な仕訳パターンはこちら。
→ クレカで払った経費の仕訳ガイド
まとめ ── 経費の記録は「未来の自分」への投資
- 経費にできるかどうかは「事業に関係あるか」が基本
- プライベート兼用なら家事按分
- 10万円以上は処理方法が変わる(青色なら40万円未満まで一括OK)
- レシートは7年間保管
- 迷ったら「第三者に説明できるか」で判断
経費の記録は面倒に感じるかもしれません。
でも、1年間コツコツ記録した結果、確定申告で数万円〜数十万円の節税になることは珍しくありません。
今日のレシートを捨てないこと。
それが、来年の確定申告を楽にする第一歩です。