2026.06.20

家事按分は何%にする?個人事業主が迷う割合の決め方と実例

自宅で仕事をしている個人事業主にとって、避けて通れないのが家事按分(かじあんぶん)

家賃、電気代、通信費……プライベートと仕事で共有しているものは、「事業で使った割合」だけ経費にできる。
ルールとしては分かる。

でも、「何パーセントにすればいいの?」が分からない。

ネットで調べても「合理的な根拠に基づいて按分しましょう」としか書いてない。
その「合理的」が分からないから調べてるのに。

この記事では、筆者が実際に何%にしたか、なぜその割合にしたかを、項目ごとに正直に記録します。

先に結論

そもそも家事按分とは

家事按分とは、プライベートと事業の両方に使っている支出を、事業で使った割合だけ経費として計上する仕組みです。

たとえば、月8万円の家賃のマンションで、1部屋を仕事専用に使っている場合。 全体の面積に対する仕事部屋の割合が30%なら、8万円 × 30% = 2.4万円を毎月経費にできます。

ポイントは「合理的な根拠があること」。 税務署に聞かれたときに「なぜこの割合にしたのか」を説明できれば、それでOKです。 逆に、根拠なくテキトーに高い割合にしていると、税務調査で否認されるリスクがあります。

💡

青色申告と白色申告で違いはある?

白色申告の場合、家事按分は「事業用の割合が50%を超える部分」しか経費にできないという制限があります。青色申告なら、事業用として合理的に説明できる部分はすべて経費にできます。これも青色申告を選ぶメリットの一つです。

項目別:何パーセントにする?割合の決め方

① 家賃 ── 面積で按分するのが王道

家賃の按分は「面積割合」で決めるのが最もシンプルで、税務署に説明しやすい方法です。

計算方法は単純。間取り図や賃貸契約書から部屋全体の面積と仕事に使っているスペースの面積を出して、割合を計算します。

例:全体60㎡、仕事部屋12㎡ → 12 ÷ 60 = 20%
例:ワンルーム25㎡、デスク周り6㎡ → 6 ÷ 25 = 24%

仕事専用の部屋がなくても、リビングの一角にデスクを置いて仕事をしている場合は、そのスペースの面積で計算すればOKです。

② 電気代 ── 使用時間で按分する

電気代は「1日のうち何時間仕事で使っているか」で按分するのが一般的です。

例:1日8時間仕事 ÷ 24時間 = 約33%
例:1日10時間仕事 ÷ 24時間 = 約42%

ただし、就寝中の8時間は電気をほとんど使っていないので、「起きている時間のうち何時間仕事しているか」で計算するほうが実態に近い、という考え方もあります。

例:起きている16時間のうち8時間仕事 → 8 ÷ 16 = 50%

どちらの計算方法を採用するかは自分で決められます。大事なのは「この計算方法で出した」と説明できること。

③ 通信費(Wi-Fi・固定回線) ── 使用時間で按分

自宅のWi-Fiを仕事でも使っている場合、電気代と同じく使用時間で按分するのが一般的です。

仕事でしか使わないのであれば100%経費にできますが、動画やSNSなどプライベートでも使っている場合は按分が必要。 50〜70%あたりで設定している個人事業主が多い印象です。

④ スマホ代 ── 事業使用の割合で按分

スマホを仕事とプライベートで兼用している場合は、按分が必要です。

厳密にやるなら通話履歴やアプリの使用時間で割合を出すこともできますが、そこまでやっている人は少ないのが実態。 事業用としてどの程度使っているかを自分で判断して、30〜50%あたりで設定するのが現実的です。

事業専用のスマホを別で契約している場合は、その料金は100%経費にできます。

⑤ 車両関連費 ── 走行距離 or 使用日数で按分

車をプライベートと事業で兼用している場合は、走行距離または使用日数で按分します。

運転日報をつけて「この日は仕事で○km走った」と記録しておくのが理想。 ガソリン代、駐車場代、保険料、車検費用なども、同じ割合で按分できます。

家事按分の目安一覧

経費の種類 按分の基準 よくある割合
家賃 面積割合 20〜40%
電気代 使用時間 30〜50%
通信費(Wi-Fi) 使用時間 50〜70%
スマホ代 使用割合 30〜50%
車両関連費 走行距離 or 日数 使用実態による
水道代 按分困難 計上しない人が多い

この表はあくまで「よくある割合」です。 自分の実態と合わない場合は、自分の使い方に合った割合を計算してください。 大事なのは「この数字は、こういう根拠で出した」と言えること。

【実体験】筆者が実際に設定した割合と、その根拠

筆者は自宅でアプリ開発・ブログ運営・イラスト制作をしている個人事業主です。 確定申告のとき、以下の割合で家事按分を設定しました。

経費 按分割合 根拠
家賃 10% 2Kの間取りで、作業スペース+機材・資料の収納で約1割
電気代 30% 1日の作業時間(約8h)÷ 24h。控えめに設定
通信費(スマホ) 50% 固定回線なし。スマホ1台で開発の動作確認・リサーチ・連絡をすべてカバー。事業とプライベートが半々

正直に言うと、電気代はもう少し高くしても根拠はあると思います。 でも、初年度は「控えめにして、何も言われない実績を作る」ほうが安心だと判断しました。

2年目以降、実態に応じて割合を調整することもできます。 最初から攻めた割合にするよりも、まずは堅実な数字で始めて、確定申告を一度乗り越えてから見直すのがおすすめです。

⚠️

水道代は計上していません。

「仕事中にコーヒーを淹れる」は経費にできる根拠としては弱いと判断。水道代を按分している個人事業主もいますが、金額が小さいわりに説明が面倒なので見送りました。

税務調査で否認されないために

家事按分は、税務調査でチェックされやすいポイントの一つです。 否認されないために、最低限やっておくべきことを整理します。

① 根拠を「メモ」でいいから残す

「家賃30% → 全体60㎡のうち作業スペース18㎡」
「電気代30% → 1日8時間作業 ÷ 24時間」
こんなメモで十分です。Excelやスプレッドシートに1行ずつ書いておくだけ。 何年後かに聞かれても「この根拠で出しました」と言えればOK。

② 間取り図を保存しておく

家賃の按分で面積比を使うなら、間取り図(賃貸契約書に載っているもの)を保存しておきましょう。 作業スペースをマーカーで囲っておけば、それが根拠になります。

③ 割合を毎年コロコロ変えない

引っ越しや事業内容の変化がないのに、按分割合を毎年変えると不自然に見えます。 一度決めた割合は、大きな変化がない限りそのまま使い続けるのが安全です。

④ 迷ったら控えめに

「30%でも40%でも根拠はつけられる」という場合は、低いほうを選んでおく。 経費が少し減りますが、否認リスクがほぼゼロになります。 攻めた節税で数千円得するより、安心して確定申告を終えるほうが価値があります。

会計ソフトでの家事按分の設定方法

主要なクラウド会計ソフトには、家事按分の設定機能が標準で備わっています。

やることはシンプルで、「この経費は按分割合○%で経費計上する」と設定するだけ。 毎月の家賃や通信費を入力すれば、事業用の金額が自動で計算されます。 確定申告書にもそのまま反映されるので、手計算の必要がありません。

freeeもマネーフォワードも、家事按分の設定画面があります。 勘定科目ごとに割合を設定すれば、あとは自動。

家事按分も自動計算

会計ソフトなら、按分割合を一度設定するだけ。毎月の経費から事業用の金額を自動で算出してくれます。

家事按分のよくある疑問

Q. 按分割合に上限はある?

法律上の上限はありません。事業で100%使っているなら100%経費にできます。 ただし、自宅の家賃を100%経費にすると「住む場所がないのか?」となるので、実態に合った割合にしましょう。

Q. 年の途中で引っ越したら?

引っ越し前と引っ越し後で、それぞれの面積に基づいた按分割合を使い分ければOK。 引っ越し月だけ日割り計算が必要になりますが、会計ソフトなら設定を変更するだけで対応できます。

Q. 持ち家の場合は?

持ち家でも家事按分は可能です。ただし、家賃ではなく「建物の減価償却費」「固定資産税」「住宅ローンの利息」が按分の対象になります。 住宅ローンの元本は経費にできないので注意。 また、事業用の割合が50%を超えると住宅ローン控除が受けられなくなるため、バランスに気をつけてください。

Q. 家族と同居の場合は?

家族と同居していても家事按分はできます。 ただし、按分の基準はあくまで「事業に使っている割合」。 家族がいることで生活スペースが広くなっている分、事業用の割合は下がる傾向があります。

まとめ ── 根拠があれば怖くない

筆者も最初は「何パーセントにすれば正解なのか」をひたすら検索していました。 でも結局、正解は「自分の実態に合った割合を、根拠つきで決める」だけ。 迷ったら控えめに。まずはその割合で確定申告を一度乗り越えてみてください。

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