2026.06.15

開業費とは?いつの日付で・何を入れるか、実体験ベースで解説

開業届を出した。青色申告の届出も出した。
さあ帳簿をつけよう──と思ったとき、最初にぶつかる壁がこれでした。

「開業費って、何を入れていいの?」
「いつの日付で登録するの?」

筆者自身がまさにこの問題で悩み、調べ、間違え、学んだ記録をまとめます。

そもそも「開業費」とは何か

開業費とは、事業を始めるまでの準備期間中に支払った費用のことです。

税務上は「繰延資産」として扱われます。 ざっくり言えば、「開業日より前に事業のために使ったお金」。 これを帳簿に載せることで、確定申告のときに経費として計上できるようになります。

ポイントは3つ。

この「開業日の日付で登録する」というルールが、意外と知られていません。 筆者も最初、実際に支払った日の日付で1件ずつ入力しようとして混乱しました。

開業費に「入れていいもの」「入れてはいけないもの」

開業費に入れていいもの

費用の例 具体的には
名刺・印鑑の作成費 事業用の名刺印刷代、屋号入りの印鑑代
Webサイト制作費 ドメイン取得、サーバー契約、ポートフォリオサイトの制作費用
市場調査・セミナー費 事業に関連する書籍購入、セミナー参加費
広告宣伝費 開業前に出したチラシ代、SNS広告費
事務用品 文房具、プリンター用紙など
ソフトウェア・サブスク Adobe CC、会計ソフトなど開業前に契約したもの
交通費 打ち合わせ、物件下見、開業準備のための移動費

開業費に入れてはいけないもの

費用の例 理由
10万円以上の備品・機材 「固定資産」として別途処理する(減価償却の対象)
敷金・保証金 「繰延資産」ではなく「資産」扱い(返還される前提のため)
仕入れた商品 「仕入高」として別の勘定科目で処理
プライベートの支出 事業に直接関係しないものは対象外

【実体験】4年前に買ったPC、開業費にできると思っていました

😇

これは筆者の実際の失敗談です。

開業届を出したとき、真っ先に思ったのがこれでした。

「4年前に買ったPC、今も仕事で使っているんだから、開業費に入れられるよね?」

結論:入れられませんでした。

理由はシンプルで、パソコンの法定耐用年数は4年。 つまり、4年前に購入したPCは減価償却がすでに終わっている=帳簿上の価値がゼロ。 開業費として計上する「金額」が存在しないのです。

仕事で毎日使っているのに、帳簿上は「価値ゼロ」。 このギャップにはかなりショックを受けました。

ここから学んだ教訓は2つ。

もし開業を考えていて、近いうちにPCを買い替える予定があるなら、開業届を出したに購入するほうが経費として有利です(10万円以上なら固定資産として減価償却、10万円未満なら消耗品費として一括経費)。

開業費は「いつの日付」で登録するのか

これも悩みました。

名刺を3月に注文して、ドメインを4月に取得して、セミナーに5月に行って、開業届を6月に出した。 この場合、帳簿にはそれぞれの日付で3件入力するのか?

答え:開業日の日付で、合計額を1件だけ登録する。

個々の支出をバラバラに入力する必要はありません。 開業前に使った費用をすべて合算して、開業日の日付で「開業費 ○○円」と1行だけ仕訳を切ります。

ただし、何にいくら使ったかの明細は別途保管しておく必要があります。 領収書やレシートは封筒にまとめて「開業準備費用」とラベルを貼っておくのが安全です。

仕訳のイメージ

日付 借方 貸方 金額 メモ
6/1(開業日) 開業費 事業主借 85,000円 開業準備費用一式(名刺・ドメイン・書籍等)

支払方法は多くの場合「個人のお金で立て替えた」はずなので、貸方は「事業主借」になります。

開業費はいつ経費にできるのか(償却のルール)

開業費は、登録しただけでは経費になりません。 「償却」という手続きを経て、はじめて確定申告で経費として使えます。

個人事業主の場合、開業費の償却方法は「任意償却」が認められています。

任意償却とは、好きなタイミングで・好きな金額だけ経費にできる方法です。

つまり、節税のタイミングを自分でコントロールできる、かなり有利な仕組みです。 開業初年度は売上が少ないことが多いので、2年目以降に回すのが定番の使い方です。

💡

ポイント:開業費が少額(数万円程度)なら初年度に一括で償却してしまうのが楽です。金額が大きい場合は、利益の出方を見ながら分割するのが有利。

→ 開業費の償却タイミングと仕訳の詳細はこちら

会計ソフトでの開業費の入力方法

会計ソフトによって操作は異なりますが、基本の流れは同じです。

  1. 開業日の日付で「開業費」を登録する(繰延資産として計上)
  2. 年末の確定申告時に、償却したい金額を「開業費償却」として経費計上する

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開業費のよくある疑問

Q. 開業届を出す前の費用はどこまで遡れる?

法律上、明確な期限はありません。 一般的には「開業のために使った」と説明できる範囲であれば、数ヶ月〜1年程度前の費用は認められることが多いです。 ただし、あまりに古い支出(数年前など)は税務署から説明を求められる可能性があるので、常識的な範囲に留めておくのが安全です。

Q. レシートを捨ててしまった場合は?

クレジットカードの明細やネットショップの購入履歴など、支払いの事実を証明できるものがあれば代用可能です。 ただし、何に使ったかの説明がつくことが前提。 今後のために、事業関連の支出は必ずレシートか明細を保管する習慣をつけておくことを強くおすすめします。

Q. 開業費を登録し忘れたまま確定申告してしまった

翌年以降に計上することも可能です。 開業費は「任意償却」なので、計上するタイミングは自由。 ただし、修正申告が必要なケースもあるので、金額が大きい場合は税理士に相談してください。

まとめ ── 開業費で損しないために

開業費のルールは、知っていれば難しくありません。

開業直後は分からないことだらけですが、帳簿のルールを一つずつ押さえていけば大丈夫です。 この記事が、過去の筆者と同じところで悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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