2026.06.20(2026.09.04 更新)

個人事業主の事業用電話番号、どうする?携帯番号を公開したくない人の選択肢

開業届を出した。バーチャルオフィスも契約した。
でも、もう一つ引っかかることがある。

「電話番号、携帯のまま公開していいのか……?」

D-U-N-S番号の登録、Google Playの開発者情報、特定商取引法の表記。
個人事業主として活動するほど、電話番号を「どこかに載せる」場面が出てくる。

この記事では、筆者が実際にD-U-N-S番号を取得し、Google Play公開に向けて電話番号をどうするか考えた過程を正直に書きます。
「結局どれを選べばいいのか」まで判断できるようにまとめました。

先に結論

【実体験】D-U-N-S登録で携帯番号を使ったらどうなったか

筆者はD-U-N-S番号の取得申請で、事業用電話番号の欄に携帯番号を登録しました。

数日後、東京商工リサーチから確認メールが届きました。そこにはこう書かれていました。

📩

「ご申請いただいております電話番号は携帯番号のため、念のため確認をさせていただいております。事業用会社代表電話があればご連絡をお願いいたします。ない場合は、上記携帯番号を登録させていただいてもよろしいでしょうか。」

結論から言うと、携帯番号で問題なく登録できました。 「事業用の番号がなければ携帯でOK」という対応です。

ただし、この確認メールを受け取ったとき正直に思ったのは、「事業用の番号があればもっとスムーズだったな」ということ。 そして今後Google Playに組織アカウントとしてアプリを公開する予定があり、そこでも電話番号が公開される。 携帯番号をそのまま全世界に晒すのは、やっぱり避けたい。

──じゃあ、どうすればいいのか。ここから調べ始めました。

そもそも事業用番号は必要なのか

先に正直に書いておくと、多くの個人事業主は携帯番号のまま事業をしています。 それで困らないケースのほうが多い。

事業用番号が「あったほうがいい」のは、以下のような場面がある場合です。

逆に、電話番号を公開する場面がなく、クライアントとの連絡もチャットやメールで完結するなら、携帯番号のままで十分です。 「なんとなく事業用番号があったほうがプロっぽい」だけで契約するのはお金のムダです。

個人事業主が実際に選んでいる5つの方法

調べてみると、個人事業主やフリーランスが「事業用番号」として使っている方法は、大きく分けて5つあります。 高額なサービスほど良い、というわけではないのがポイントです。

① 携帯番号のまま使う ── コスト0円

一番多いパターンです。筆者もD-U-N-S登録は携帯番号で通りました。 開業届にも携帯番号を記載できますし、確定申告にも問題ありません。

メリットは当然コストゼロ。新しい番号を覚える必要もない。 デメリットは、番号を公開した場合に営業電話が増えることと、プライベートとの境界がなくなること。 「電話番号をネット上に公開する予定がない」なら、これで十分です。

② povoで仕事用の2回線目を持つ ── 基本料0円〜

「番号は分けたいけど、月額は払いたくない」という人に人気なのがpovoです。

povoは基本料0円で090/080番号が持てます。 データ通信はトッピング制で、通話だけなら月額ほぼ0円で仕事用番号を維持できる。 今使っているスマホがeSIM対応なら、SIMカードを追加するだけで1台で2番号を使い分けられます。

注意点は、180日間トッピング購入がないと利用停止になること。 最低限のトッピング(smash.使い放題パック 220円など)を半年に1回購入すれば維持できます。 事実上、年間440円で仕事用番号が持てる計算です。

③ 楽天モバイルで仕事用回線を追加 ── 月額1,078円〜

povoより月額はかかりますが、楽天モバイルは「通話が多い個人事業主」にとってコスパが良い選択肢です。

Rakuten Linkアプリを使えば国内通話が無料。 仕事で電話をかける頻度が高い人にとって、通話料を気にしなくていいのは大きなメリットです。 データ通信も3GBまで月額1,078円と安い。

楽天ポイントが貯まる・使えるのも地味にありがたい。 「仕事用の番号+通話無料+データ通信」をワンセットで持ちたいなら、有力な選択肢です。

楽天モバイル ── 通話無料で仕事用回線に

Rakuten Linkで国内通話無料。3GBまで月額1,078円。紹介リンクから申し込むと楽天ポイントがもらえます。

④ バーチャルオフィスの電話転送 ── 住所とセットで持てる

すでにバーチャルオフィスを契約している方、または住所と電話番号を両方必要としている方には、電話転送オプションが合理的です。

03や06などの市外局番付きの番号を取得でき、着信を携帯に転送してくれます。 住所と電話番号をセットで管理できるので、開業まわりの手続きがシンプルになります。

筆者はGMOオフィスサポートを契約しています。 転送電話付きプラン(月額1,650円〜)なら住所利用+03番号の電話転送がセット。 住所だけのプラン(月額660円〜)で始めて、必要になったら電話転送プランに変更する、というステップアップも可能です。

住所+電話番号をまとめるなら

GMOオフィスサポートなら、事業用住所と03番号の電話転送をセットで契約可能。初年度基本料金6ヶ月無料キャンペーン中。

⑤ 050番号アプリ・クラウド電話 ── 月額330円〜

スマホにアプリを入れるだけで事業用番号が持てるサービスです。 050番号なら月額330円〜、03/06番号が取れるクラウドPBXサービスもあります。

050番号のメリットはコストの低さと導入の手軽さ。 デメリットは、050=IP電話というイメージから信頼面でやや劣ると感じる取引先がいること。 また、110番・119番の緊急通報ができない点は知っておいてください(実務で困ることはほとんどありませんが)。

「050ではなく市外局番の番号がほしい」なら、ナイセンクラウドのようなクラウドPBXサービスがあります。 スマホアプリで03番号や0120番号の発着信ができ、固定電話の回線工事も不要です。

ナイセンクラウド ── スマホで03/0120番号が使える

クラウドPBXで市外局番つきの番号を取得。固定電話の工事不要、スマホアプリで発着信可能。

5つの方法を比較する

携帯のまま povo 楽天モバイル GMO電話転送 050/クラウド電話
月額 0円 実質0円〜 1,078円〜 1,650円〜 330円〜
取得番号 ── 090/080 090/080 03/06 050/03/06
通話料 通常 22円/30秒 無料(Link) 転送先負担 サービスによる
番号の分離 ×
住所セット × × × ×
信頼性 ◎(市外局番) △〜◎
導入の手軽さ ◎(eSIM対応) ◎(アプリ即日)

結局どれを選ぶ?── タイプ別ガイド

電話番号を公開する予定がない

携帯番号のままでOK。お金をかける必要はありません。D-U-N-S登録も確定申告も携帯番号で問題なし。

番号を分けたいけどコストを抑えたい

povoで2回線目。基本料0円、eSIMで1台運用、年間数百円で維持可能。通話頻度が高いなら楽天モバイル(通話無料)のほうがトータルで安くなる場合も。

住所と電話番号を両方ほしい

バーチャルオフィスの電話転送。住所+03番号がセットで月額1,650円〜。別々に契約するより管理がラク。

市外局番の番号で信頼性を上げたい

クラウドPBX(ナイセンクラウド等)。法人クライアントとの取引が多い場合や、問い合わせ窓口として03番号を持ちたい場合に。

【筆者の場合】結局どうしたか、そしてこれからどうするか

正直に書きます。筆者は今のところ、携帯番号のままです。

D-U-N-S番号は携帯番号で登録できた。GMOオフィスサポートも住所利用のみのプラン(月額660円)で契約している。 今の段階では、電話番号を公開する場面がまだ来ていないので、コストをかける必要がないと判断しました。

ただし、Google Playに組織アカウントとしてアプリを公開するタイミングが来たら、番号を分ける予定です。 その場合の第一候補はpovo。基本料0円で番号が持てるなら、公開用番号として割り切って使える。 もし電話でのやり取りが増えるようなら、GMOの電話転送プランに変更して、住所と番号をまとめるつもりです。

「今すぐ必要か?」を考えて、必要になったタイミングで動く。 住所のときと同じで、先に焦って契約する必要はないと思っています。

事業用番号の費用は経費になる?

はい、事業用として使っている電話番号の月額料金・通話料は経費にできます。 勘定科目は「通信費」が一般的です。

事業専用の番号(povoの2回線目、楽天モバイルの仕事用契約など)なら100%経費。 家事按分の計算が不要になるので、経理面でもメリットがあります。

プライベートと兼用の携帯番号を事業でも使っている場合は、使用割合に応じた家事按分が必要です。

💡

「番号を分ける」と経理がラクになる。

事業専用番号なら按分不要で100%経費。携帯番号を仕事とプライベートで兼用していると、按分割合を決める手間がかかります。月額数百円で経理の悩みが一つ減るなら、十分な投資です。

開業届の「電話番号」欄には何を書く?

事業用番号を考えるきっかけとして多いのが、開業届の記入です。 納税地の横に電話番号を書く欄があり、ここで手が止まる方は少なくありません。

結論としては、携帯番号をそのまま書いて問題ありません。 固定電話や事業専用番号でなければいけない、という決まりはありません。

開業届の電話番号は、税務署が申告内容の確認などで連絡する際に使うものです。 Webサイトや名刺に載せる「公開用の番号」とは役割が違うので、ここで悩む必要はありません。 開業届そのものの書き方は、 開業届の書き方|迷う12項目をひとつずつ解説 にまとめています。

特定商取引法の表記で、電話番号は公開しないといけない?

番号を分けたくなる最大の理由が、ここだと思います。 ネットショップやオンライン講座など通信販売にあたる事業をしていると、特定商取引法にもとづく表記が必要になります。

個人事業主の場合、表示が求められるのは氏名(本名または登記した商号)・住所・電話番号です。 屋号だけ、メールアドレスだけ、では要件を満たしません。しかも電話番号は「確実に連絡が取れる番号」である必要があります。

自宅住所と携帯番号を全世界に公開することになるわけで、抵抗を感じるのは自然です。

📌

バーチャルオフィスの住所・電話番号で代替できる場合があります。

消費者庁は、一定の条件を満たす場合、個人事業者が自身の住所・電話番号に代えて、通信販売プラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所・電話番号を表示しても表示義務を満たす、という見解を示しています。

ただし条件があり、どのサービスでも無条件に認められるわけではありません。「特商法表記に使える」と明示しているサービスを選び、契約前に条件を確認してください。判断に迷う場合は消費者庁のガイドラインにあたるのが確実です。

住所と電話番号の両方を隠したいなら、電話転送の付いたバーチャルオフィスを選ぶのが結局いちばん早い、という結論になりやすいのはこのためです。 各社の条件は バーチャルオフィス4社比較 で整理しています。

なお、通信販売にあたらない事業(受託開発やライティングなど、個別契約で仕事を受ける形)であれば、そもそも特商法の表記義務はありません。 自分の事業が該当するかどうかを先に確認してください。

個人事業主に固定電話は必要?

「事業をするなら固定電話がいるのでは」と考える方もいますが、いまはほとんどの場面で不要です。

場面 固定電話は必要か
開業届の提出 不要。携帯番号でOK
屋号付き口座の開設 基本的に不要
特商法の表記 不要。ただし連絡の取れる番号は必要
法人化・融資の申込 あると信用面で有利になることがある
法人向けの取引先が多い 03/06番号があると印象が変わる場合も

昔ながらのアナログ回線を引く必要は、まずありません。 市外局番のある番号がほしい場合も、クラウド電話サービスで03や06の番号を取得するほうが安く早いです。

よくある疑問

Q. 電話番号から、副業していることが勤務先にバレる?

電話番号そのものが勤務先に伝わる仕組みはありません。 副業が勤務先に知られるきっかけは、多くの場合住民税の通知です。番号の問題ではないので、確定申告書の「住民税に関する事項」で納付方法を確認しておくほうが実効性があります。

ただし、携帯番号をWebサイトに公開している場合、その番号で検索されて他のアカウントと結びつく可能性はあります。 公開するなら番号を分けておくほうが安全です。

Q. 050番号で開業届は出せる?

はい、問題ありません。開業届の電話番号欄に050番号を記載しても受理されます。 090/080の携帯番号でも問題ありません。

Q. povoの番号で銀行口座は作れる?

個人事業主の口座開設であれば、携帯番号(povo含む)で問題ないケースがほとんどです。 法人口座の場合は銀行によって対応が異なるため、事前確認をおすすめします。

Q. eSIM非対応のスマホだとpovoは使えない?

物理SIMでも契約可能ですが、その場合はSIMカードの入れ替えが必要になるため、2台持ちになります。 eSIM対応スマホなら、1台で2番号を使い分けられるのでおすすめです。

Q. 番号は後から変えられる?

povoや楽天モバイルの番号は、MNP(番号ポータビリティ)で他社に引き継げます。 050番号はサービスを変えると番号が変わるため、名刺やWebに載せる前に長く使うサービスを選んでおいてください。

Q. 電話番号が変わったら税務署に届出が必要?

電話番号の変更だけであれば、原則として届出は不要です。 届出が必要になるのは、納税地(住所)や屋号が変わった場合などです。次回の確定申告書に新しい番号を記載すれば足ります。

Q. 電話に出られないことが多い。どうすればいい?

個人事業主は作業中に電話を取れないことが多いので、留守番電話やクラウド電話の自動応答を設定しておくのが現実的です。 「営業電話は取りたくないが、取引先の電話は逃したくない」という場合は、番号を分けて仕事用だけ通知を出す運用が向いています。 有人で一次対応してほしいなら電話代行サービスもありますが、月額数千円かかるため、着信件数が増えてから検討すれば十分です。

まとめ ── 必要になるまで待っていい

筆者の結論は「必要になってから契約すればいい」。 住所と違って、電話番号は即日で取得できるサービスが多い。 焦って固定費を増やすより、Google Playの公開や特商法表記が必要になったタイミングで動いても遅くありません。

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